ホロスコープは“あなた”を象徴言語で顕した天空の海図
西洋占星術で用いる図はホロスコープと呼ばれ、中でも“この世に生まれた瞬間”を表したホロスコープは「ネイタルチャート」、バースチャートなどと呼ばれます。
その意味は、
ネイタル=出生時の、
チャート=海図。
あなたが生まれた瞬間の、天空の海図。それが「ネイタルチャート」です。
しっかり読もうとすると、かなりの時間や労力がかかります……! これから少しずつ、占星術に詳しくない方も楽しめるような記事を、思わぬところへ旅立ちながらも書いていきたいと思います。
誕生日だけでなく、今日のチャートを出すこともできる
例えば、この記事を書いているわたしは今「京都」にいます。そして「2024年5月3日」日本時間「14:55」で算出したチャートは以下となります。
▲メトロポリタン占星術を使用しました
★外側にあるカラフルな箱の中にある記号は、お馴染みの12星座です。
雑誌の巻末にある「星座占い」だとか、歌詞などでも見かけるような おひつじ座、 ふたご座、 さそり座……などなどが円環で並んでいます。
※ちなみに、西洋でも古典と呼ばれるものや、インド占星術など円形で描かれず四角形で描写されるホロスコープ・チャートも存在します!
★内側に点在しているシンボルは10天体です。
中でもパッと見で分かりやすいのは、月 、金星 、火星 のマークでしょうか。
その他には、太陽 、水星 、木星 、土星 、天王星 、海王星 、冥王星 などが一般的に扱われます(10天体)。
しかし太陽は恒星で、月は衛星です。「いや、規模感が違いすぎるやん」というツッコミがよく入ります。また近年、冥王星は惑星ではなく、準惑星になったやん、などもあるある系……。ここでは理由は割愛しますが、日本で一般的に広まっている現代西洋占星術では、全てを「天体」と称して一列に扱います(ただし天体によって働きかけるカテゴリーや深度、強度が異なります)。
また、こうした「天体」に留まらず、さらに微細な描写ができるといって「小惑星」を含めたり、実際に星空に存在する星たちですらない、計算上は算出できる位置(感受点)を重視する読み解き方もあります。
なぜ、ホロスコープを出すときに「出生地」が必要なのか
どうして「出生地」までチャートを作るときに必要になるのかというと、同じ日にちの同じ時間でも、別の場所で算出すると、位置が移動するからです。地球上における、どの場所から天空を見ているかが変化するためですね。
例えば、アメリカはニューヨーク市(北緯40度42分、西経74度00分)で同じタイミングを出すと……
▲同じ時間を海外で出したもの
日本の京都では右側に偏っていた天体たちが、いっせいに左下に移動しています。日本国内でここまでの変動が起こることはありませんが、この位置も読み解きにおいて重要視されるので、なるべく都道府県、できれば市街地まで入力すると正確だとされています。
ちなみに、このホロスコープで描かれているのは、実際の空模様ではありません。
だから、天体観測するときに用いる空の星座とごったにならないように、「星座」ではなく象徴言語である「サイン」と呼ばれています。
ところで、あまり占星術に触れていない方は、自分のサイン以外は覚えていないかもしれません。
12星座の移り変わりと、暦の関係性
12サインの順番は、以下です。
占星術における1年の始まりは春分。何月何日だからではなく、春分の瞬間が おひつじ座の0度です。
各サインは30度ずつあります。
おひつじ座にも0度から30度まであり、その度数によっても読み解きは変わります。
さて、春分点から おひつじ座が始まりました。わたしたちが感じられる日本の四季でいうと春から初夏へ、梅雨を迎えていきます。北半球では最も日が長い夏至から かに座が始まります。
夏を過ぎ、昼と夜が同じ長さとなる(春分と対をなす)秋分は てんびん座の始まりです。
12サインの位置から見ても、この2つのサイン(おひつじ座&てんびん座)はお互いをにらみ合うというか、ちょうど真反対の位置にありますよね。
こうした位置関係からも、ホロスコープの読み解きが生まれてきます。
そして日が最も短く(夏至と対をなす)冬至は、 やぎ座が始まるタイミングです。
日と夜が同じ春分と秋分。どちらかが極まる夏至と冬至。漢字からも意味合いを受け取れますよね。
とはいえ、わたしは占星術に触れるまで「〈分ける〉と〈至る〉、なんで違うんだろ?」と不思議に感じつつも、調べようとも思わぬ無関心っぷりでしたが……。
12星座が巡る1年の足取り
12星座の最初のサインである おひつじ座の0度から始まって、12星座ラストを飾るサインの最後の度数…… うお座の30度で一周し、1年を回ることが出来ました。
おおまかには、太陽は毎日、地球の約1日ごと1度ずつ進んでいくイメージです。
おひつじ座 3/21 〜 4/20頃 |
おうし座 4/21 〜 5/21頃 |
ふたご座 5/22 〜 6/21頃 |
かに座 6/22 〜 7/23頃 |
しし座 7/24 〜 8/23頃 |
おとめ座 8/24 〜 9/23頃 |
てんびん座 9/24 〜 10/23頃 |
さそり座 10/24 〜 11/22頃 |
いて座 11/23 〜 12/22頃 |
やぎ座 12/23 〜 1/20頃 |
みずがめ座 1/21 〜 2/19頃 |
うお座 2/20 〜 3/20頃 |
12サイン×30度ずつ=360度。円となりますね。
わたしたちが生活で用いているグレゴリオ暦では1年は約365日とされていますから、5日分のズレがあります。ですから厳密には太陽が進むのは1日=1度ではなく誤差があるんですが、まぁ大体そのように捉えると把握しやすいです。
このズレがあるから、次の星座との境目ごろに生まれた方の場合、出生時間によってサインが変わることがあるのですね。
「ネイタルチャート」がブループリントと呼ばれる理由
この「ネイタルチャート」はまるで種子のように、その人の可能性がブループリントとして刻み込まれている……みたいな言い方をされます。
例えば、太陽サインなど しし座が目立ったホロスコープを見たら「あなたは主役やリーダー向き!」という占い方をする人もいるのですが( しし座は太陽においては最も強いサインなのです!)、しかし しし座生まれの人でも「わたしは、そんな表立って出たくない。むしろ裏方が好みなんだ」という気質を持つ方もおられるはずですね。
あるいは、 いて座なら「惚れっぽくて三日坊主、海外に縁がある人!」なんて括られることもあるのですが「うーん、そんなに飽きっぽくないと思うけどなぁ」と感じられた人もいるのでは?
そうなんです、言い切れないものがあるのです。このフワフワ加減が、データ重視の方々からすると「占いは非科学的!」と切り捨てられてしまう向きもあります。
ちまたでは、太陽サイン ではなく、月サイン こそが本来の自分だという読み解き方をする方もいます。月サイン が重視されすぎた傾向を嫌ってか、月サイン は持っている才能ではなく、欠損しているんだー! と豪語する方々まで出ています。
あまりに欠損説に傷つく人が多いので記事にしています。気になってしまう方はご覧になってくださいね
ところで、青写真って何でしょう?
辞書によれば:
青写真(あおじゃしん)
1 露光により青色に発色する鉄塩類などを塗った感光紙に、原図をのせて焼き付ける複写技術。また、それで得られる青地に白の印画。図面の複写、印刷の際の青焼きなどに利用。
2 《1が設計図に用いられるところから》おおよその計画。また、未来の構想。「都市計画の—」
―― 青写真 – goo辞書
主には②の意味合いで、例えとして使われていますよね。
ちなみに、英語のウィキペディアでは、こんな写真が掲載されていました。実際の青写真はこんな描写になるようです!
なんだかネガポジ反転した写真みたいですね。
青写真(あおじゃしん、英: cyanotype、サイアノタイプ、シアノタイプ)は、青色の発色を特徴とする19世紀に発明された写真方式。日光(太陽光)で印画することができるため日光写真ともいう。
日光写真とも呼ぶとは……びっくりです。改めて、ブループリントというのは占星術にぴったりな表現なんだな〜と思いました。
さて、青写真の意味に「おおよその計画。また、未来の構想」とありましたように、ホロスコープは放っておいてもこうなります、あるいは、どんなに抵抗してもこうなってしまいます、といった無気力で神さま任せな図、ではありません。
象徴言語ですから、言葉やイメージよりも高い抽象度を有しています。
だから、読み手の意識から、あるいはどの年齢で、どんな体験をしたのか、どういったテーマを抱えているのかによって、同じ図であっても読み解きやレイヤーも変わってくる、高次元の情報を有した海図なんです。
人の運命を宿命的に記したものではなく、むしろ人の性格の潜在的発展性の大まかな筋を象徴するものである。
少し考えれば人間が自分の要求や恐れ、才能に従って行動し、人生を築き、そういった要求や恐れ、能力は自分の生まれつきの性質から生じていることが理解できるはずだ。この点で性格は運命である。
だから我々が運命に無知であれば――我々の多くは決して無意識を探究したことがないので――自分が向こう見ずに、盲めっぽうに己れの選んだ方向に走ったからといって、星々を非難することはできない。
(中略)象徴的な意味でいうと、個人を作り上げている様々なエネルギーのパターン、または心の構成要素を表わすひとつのモデルなのだ。
――『占星学』リズ・グリーン (著), 岡本翔子 (翻訳), 鏡リュウジ (翻訳)
※強調は筆者による
あなたの「ネイタルチャート」の出し方
3ステップで、とっても簡単に出せます。ご自分のネイタルチャートを出してみてくださいね!
- 出生日、出生時間を入力する(時間が分からない人は、□時刻不明に✔を入れる)
- 出生地の都道府県を選ぶ(国外の人は、緯度経度タブをクリックして、入力する)
- ホロスコープを作成ボタンをクリックする
すると、左側に入力した値の「ネイタルチャート」が出てきます。……とはいっても、不慣れな方は、これだけでは何が何やら分からないと思うので、
左側の図下にある、チャート描写と同時に出てきた「このホロスコープの詳細」という白い文字をクリックすると……
記号だけではなく、日本語で文字化された画面に切り替わります。
これでチャートにある天体はどのサインにあり、どの度数なのかが分かりやすくなりました👏 楽しい読み解き具体例については、追って記事にしていきます。