私がパリで最も訪れたかった場所―― Serge Luterns(セルジュ・ルタンス)パレ・ロワイヤル本店。いわゆるの観光地には目もくれず、いつか訪れてみたい……と思っていたフレグランス(少しだけメイクアップ商品もあります)のお店。
学生のころ、恩師から教わった天才「セルジュ・ルタンス(Serge Lutens)」
日本では「資生堂」とコラボレーションを行っている、「フランスの知性・哲人」とも称される天才クリエイター。……クリエイターという言葉でくくるのがむずがゆいくらいのマルチな方なのですが……。尊敬をこめてクリエイターと書かせていただきます。(クリエイターって「世界の創造主」という意味ですからね)
幼いころから「美」に強く惹かれていた彼が、Christian Dior(ディオール)や VOGUE などで素晴らしい業績を残したあと、資生堂とのコラボレーションが始まり、東洋の美と融合されたことでさらに芸術のようなクリエイションがどんどん花開いていったのだと言われています。
彼は本業である「メイクアップ」は勿論のこと(ときに、撮影に臨むモデルは撮影以前から食べるものや触れる環境、たとえば薔薇の花弁を浮かべた風呂に入ることなども指定されていたのだそう!)
全般のディレクションも、撮影も指揮をとり、CGを使わずして「彼の不可思議ともいえるビジュアル」を凄まじいクオリティで具現化していた……という話を聞いて、18歳のグラフィックデザイン勉強中であったわたしは、ものすごい衝撃を受けました。
メイクが好きな方は、ご存知の方も多いであろう「資生堂インウイ」。CMなどが、YouTubeでもご覧いただけます。ものすごい世界観に引き込まれます。
「つける人の美意識を表現する 気体の宝石とも呼ぶべき香り」
そして現在も「香水」というプロダクトが販売されているのですが、これがまた確立された、頑ななまでの美しさで、ただただ「美」なのです。
たとえば……
セロファンの夜
夜がひろがる。星のまたたきと地面の間は、甘く透明なかぐわしさで満ちている。美しい夜行性の虫たちがリクエストする。
「もしもしお嬢さん。このあたりの空気をぜんぶ包んでいただけますか?」
「贈り物ですか?」
「ええ、あなたへの」
ラルリジューズ
修道女
無垢な魂を尊び、それを守りたいと願う心は
冒涜への耐えがたい渇望に引き裂かれる。
雪のようなジャスミンの純白と、厳格な信仰心の漆黒よ。
善なるものの束縛から我らを解き放て。
ローセルジュルタンス
セルジュ・ルタンスの水
このクリエーションは、過剰な香水の匂いに満ち溢れたこの世界に対する反発です。人々にとって香りとは魅了するものではなく、本来の意味を忘れ去られた儀式と成り果てています。
L’EAU SERGE LUTENS は、世を支配する作為的な香りと一線を画し、「清潔さ」を守ろうとする至上の精気体(エーテル)なのです。
この文体にふれるだけで、大変な幸せに見舞われる有様。
日本でも購入できるフレグランスと、パリ店限定のフレグランス
日本(免税店含む)で購入できるボトルは画像のように長方形のソリッドなものですが、フランスで購入できるボトルは釣鐘型の、まろみのあるボトルとなっています。デザインとしては、縦長のものもとても好きなのですが、本家があるならば本国で買いたい!と思い、学生のころからず〜〜〜〜っと買うのを我慢していました(笑)
でも、小娘がパリに行って楽しめるのか?など変にかしこまってしまい、パリには一度も行ったことがないまま……。
あれから12年が経ち、はからずして再び木星が蠍座(香水などもシンボルに含まれる)に在る2017年、その場所を訪れることができました!!
ロワイヤル(王宮)だった館にさまざまなブティックなどが鎮座しているのも、フランスっぽい……ですよね。わたしも大好きなオードリー・ヘップバーンが未亡人を演じたサスペンス映画「シャレード」で、クライマックスの舞台となる柱回廊もここパレ・ロワイヤルなのだそう。
「本国で、彼の創った場所を実際に感じてみたい」
ずっと憧れていたパレロワイヤルを歩けて、感激でした✨
ちなみに、一緒にパリを歩いた友人は、仕事柄フレグランスを使うことができないので、今まで「香水」に興味が薄かったそうなのですが……。このセルジュ・ルタンスで香ってみたことが、衝撃だったと。香水やキャンドルなども購入するパリ旅行となっていました。友人が新たな「香り」という場に目覚めるきっかけとなれたことが、さらに幸せを増やしてくれたパリ滞在でした。
すべて香りを効いてみて、わたしが選んだのは「Fourreau noir」。
セルジュ・ルタンスといえば「黒」です。
ネーミングありきで選んだ訳ではないのですが、完璧主義であるに違いない彼が「Noir」……「黒」を冠した香りと思うと、身が引き締まります。
Fourreau はフランス語で「刀剣などの鞘」を意味するもの。
それが転じて、体にぴたりとしたラインのドレス(シースドレス)を意味するようです。(自分はわりとコンパクトな体型なので、実際にそんなドレスも好き。)ほんのりとオリエンタル調ですが、尖っていないのに、「よくある香り」でもなくて。さまざまな香りが混じり合ったふくよかな印象です。
現在これを書いている9月下旬。ようやく涼しくなってきたので、またこちらの香水を纏っていきたいと思います♡
資生堂のウェブサイトで、香り探しの旅ができます♡ よろしければ、チェックされてみてくださいね。なかなかに特殊なラインナップで、イメージするだけで刺激されますよー😍
またパリに行けますように♡